K子は先日の一件から、事あるごとに俺に相談を持ちかけてくるようになった。
家での出来事、兄妹間の問題、友人関係・・・エトセトラ、エトセトラ・・・。
俺はいつの間にか、K子専属の相談相手にされてしまったようだ。
いや、もしかすると単に不満のはけ口にされてるのかもしれない。
聞かされてる方の身にもなって欲しいものだが、それで本人の不満解決に繋がるなら良しとしようか・・・。
なんってたって、俺はフェミニストだからね。
冷静に判断することができるまで、付き合ってやるさ・・・。
いつものように、物事の考え方や対処方法を教えたりしていていると、突然K子が聞いてきた。
「ねぇ、あなたってどういう人なの?
考え方や解決方法が大人なのよね・・・。」
「はい?」
何を唐突に言い出すんだろうね、この子は・・・?
「だから、あなたの家って何をやってるの?」
「まぁ一応、小さいながらも会社を経営してますが?」
「え~っ?
そうなの~!?」
K子の顔は驚きの表情だった。
普通一般には、サラリーマン家庭が当たり前だ。
当然の反応といえば当然なのかもしれない。
「は・・・はい・・・、そうなんです。」
思わず、K子のオーバーリアクションにたじろいでしまった。
「それじゃ、御曹司なんじゃないの!」
「お・・・御曹司?」
言われてみればその通りだ・・・。
だが、何やらこそばゆい・・・。
「そうよ!」
「そんな大それた者では・・・、ないと思うぞ・・・?」
「そんな事ないってばぁ~!
で、長くやってるの?お家のお仕事・・・。」
「長いといえば、長いかなぁ・・・?」
まぁ、いづれ分かってしまうことだろうから、K子に説明することにした。
元をただせば、うちは士族の家系である。
現在の仕事についてからは、俺で四代目かそこらだったと記憶している。
家系で言えば某藩主側近の家系で、十六代目か十七代目総本家当主が俺である筈だ。
「そんなに凄い旧家なんだぁ~。
そこの総本家・・・で、当主・・・。」
「気にするなよ?
昔の話なんだから。」
「ううん。やっぱり凄い!」
K子は何やら興奮状態のようだ。
そんなに凄い事なのだろうか?
俺は当たり前に過ごしてきたので、たいして気にもしなかったが・・・。
「K子!
そしたらもしかして、あなた大奥様なんじゃないの?」
U子が脇から口をはさむ。
「はい~っ!?」
いつの間にか、周りにYとU子が居た。
「おほほほほ・・・。
嫌ですわ奥様ったらぁ・・・。」
突然に、K子がU子相手に悪乗りする。
俺は思わず頭を抱えた。
人の家系で遊ぶなよなぁ・・・。
「旦那さんも、気苦労が絶えませんなぁ~。」
と、Yが俺の肩を叩く。
くそっ、Yまで悪乗りしやがって・・・。