晴れ渡った朝空の下、いつものごとく集団登校最中である。
K子がウキウキしている。
何やら、良いことがあったらしい。
「じゃ~ん!
発表で~す!!
みんなが荷物持ってくれたりして、足の負担が少なかったから、
明日あたりから『松葉づえ』いらなくなるみたいよ?」
「そりゃよかったな~。」
これで集団登下校も必要なくなりそうだ。
何やら、寂しいような気がしないでもない。
「やっと自分の足で歩けるね?」
「うん、U子ちゃんのおかげだよ~。」
「これもオレラのおかげだぞ~?
感謝しろよ~?」
Yが話しをしている背後から、S美が割り込んできた。
「ちょっと、ゴメンなさい。
しばらくの間、この人・・・借りるわね?」
と言いながら、S美は俺の腕を引っ張る。
「うわっ!ちょっと待って・・・!
Y、荷物を頼む!」
俺は持たされている荷物をYにすべて預けて先に行かせた。
S美は普段と違い、かなり慌てている。
「どうしたの?いったい・・・。」
「昨日あなたに、姉が余計なことして・・・、ごめんなさい。」
「ああっ、そんな事か・・・。
気にしてないから、もう心配するなよ。
かえって、いまでも仲がいい姉妹で安心した。」
「そう言ってくれて、うれしいわ。」
「しかし・・・お姉さん、相変わらずだな?」
「でしょ?」
「受験だろうが何だろうが、やっぱり妹が一番可愛いんだね?
あんなお姉さんが居て、君は幸せだよ・・・。」
「そう・・・。
だから、もう一つの幸せも掴みとるの。」
「えっ!?」
「お願い!
私を見ていてね?」
「まった!
俺は、そんな真剣になるような男じゃないぞ?
それにまだ、中学生なんだぞ?俺たち・・・。」
「でもあなたは、十分に大人よ?考え方が。」
ちょっと、お姉さん。
妹さんに、何を言ったの?
これじゃ、火に油を注いでますよ・・・。