K子は『松葉づえ』が必要無くなり、
普段通りの、いつもの明るいK子に戻っていた。
「おはよ~!」
「おはよう。
すっかり元通りだな?」
「も~凄~い、不便だった。
身体が不自由なのって、大変なのね?
やっぱり、健康が一番だわ!」
「健康の、ありがたみが判った?」
「ええ、身に染みて・・・。」
とりあえずK子の機嫌は、今のところ良いようだ・・・。
先日、かなりの不満を俺にぶちまけたのだから、
元に戻ってもらわねば困る・・・。
結局のところ、確証が無い事が彼女を不安にさせているのか?
やはり俺は、告白するべきなのか?
だが告白したら、今の関係を保つことができるのか?
と、余計な考えが頭の中を駆け巡る。
そんな中、K子が突然、前触れもなく聞いてくる。
「あのさ・・・。
うちのクラスって、凄く男女の仲が良いよね?
なんでだろう?」
「なんだよ、いきなり・・・。
全く、藪から棒だなぁ・・・。」
「だって、気になるじゃない?
他のどのクラスよりも仲が良いんだよ?
このクラス・・・。
なんか、不思議だよねぇ・・・。」
「そんなに仲が良いのか?
このクラス・・・。」
「そうよ?
ダントツに・・・。
ねぇねぇ、どうしてだろう?」
「・・・・・・・・・分からないよ、そんな事。」
それは『二人が居るからだよ。』と言いたいところであるが、
イコール『俺がK子を愛しているから。』とも取れる発言だ。
『分からない。』と、誤魔化しておく事にした。
「へ~、あなたでも分からない事があるんだぁ。」
K子は、鬼の首を取ったかの様にニコニコしている。
初めて俺を負かしたような、満足そうな笑顔であった。
以後、俺を困らせる為、たびたび同じ質問をしてくるようになるとは、
まるで思いもしたかったが・・・。
そんな折、校内放送が響き渡る。
”前生徒会役員は、本日放課後、図書室へ集合してください。
繰り返します。
前生徒会役員は、本日放課後、図書室へ集合してください。”
「あれ?
これって、あなたの事でしょ?」
「そうだよなぁ・・・、たぶん。」
「なんだろうね?」
「ああ・・・。
一体、なんだろう?」