お姉さんの言葉が気になった。
「M先輩が大変って?」
「彼の家は、サラリーマン家庭だからね・・・。
親に負担のかからない、県立校を受けるらしいよ?」
その話を聞き、俺はM先輩を追いかけた。
「先輩!」
M先輩はO小学校からの付き合いで、家も近所の幼馴染である。
なおかつ昨年は、
共にこの新設T中学校の生徒会副会長を務めた間柄でもある。
互いに気心は知れている。
人柄も良く、温厚で頭も良い先輩であった。
「よぅ、元気か?」
「この時期に、大変ですね?」
「ああっ。
俺は県立U高校、受からなきゃならんからなぁ・・・。
まったく、時間が無いよ・・・。」
県立U高校は、県下トップクラスの高校で、
国立T大学には、最短の高校でもある。
確かに時間的な余裕は、ギリギリなのかも知れない。
「大体の所は任せるから、さっさと片づけてくれるか?」
「じゃ、T達と簡単に済ませちゃいますね?」
「ああ、頼むわ・・・。
最終的には、俺が責任取るからさ・・・。」