谷川に依頼してから、4日ほど経った。
そろそろ、出来上がってくる頃だろう。
もし予想通りなら、
講堂、体育館、プールなどの施設関係が挙がってくる筈だ。
おそらく問題は、その建築順序だけになるだろう。
ただ、それは俺の考えであって、実情ではない。
実際のデーターが欲しいのだ。
「谷川たちが、来たわよ?」
K子が知らせに来る。
「おっ?出来上がって来たかな?」
見ると、谷川が教室出入り口で、
仲間を3人ほど連れ、資料を手に立っていた。
「よっ!持ってきたぞ?」
「随分と早かったなぁ。
さすが谷川だよ・・・、ありがとう。
おかげで、大助かりだ・・・。
とりあえず、中に入れよ。」
俺の前の、空いている席に案内する。
そして、渡された資料に目を通す。
大当たりだ、これにTのデーターを合わせれば全て終わる。
おそらくTから挙がってくる要望は、備品程度のモノが主体だろう。
そんなものは、現行の生徒会にでも任せておけばいい。
肝心なのは、谷川が持って来てくれた、この資料なのだ。
「大体、予想してたろ・・・?
この結果・・・。」
「ん?そんな事無いぞ?」
「いいや、予想してた顔だね、その顔は。
だから怖いんだよ、おまえ・・・。
しかも教師からの信頼も厚いし、顔も広いしなぁ・・・。」
「そりゃ、買い被り過ぎだって。
俺は、そんな凄い人間じゃないって。」
「自分が気付いて無いだけだって!
大体、全権委任されてんだろ?
上から信頼されてなけりゃ、出来ね~よ。
んな事。
俺には絶対に出来ないね。
てか、やらせてもらえね~よ。」
「そうか?
責任、押し付けられたようなもんだぞ?」
「それを飄々とした顔で、こなしちまうんだからなぁ。
俺らじゃ、到底かなわね~よ。
みんな、これが俺らのアタマだ、よく覚えとけよ?」
連れてきた仲間に谷川は言った。
「やめろって。
恥ずかしいじゃん・・・。」
俺は、谷川の連れてきた仲間、一人一人に挨拶された。
「じゃ、何かあったら、また呼んでくれ。
こいつらも、手伝うからさ・・・。」
「ああ、また頼むよ。
よろしくな。」
谷川たちは、教室を出て行った。
すると、やり取りを隣で見ていたK子は、驚きを隠せずにいた。
「凄い・・・。
あなたって、学年一位の谷川をも従えちゃうんだね?
谷川が、あんなになるところ、わたし初めて見たわ・・・。」
「そうなのか?
俺は、以前の奴は知らないから、何とも言えないけど・・・。」
「そうよ!
あいつ、絶対に『手伝う』なんて言葉、言わない奴だもの!
それをあなたに言ったのよ!?
・・・・・・・・・・・・やっぱり、あなたって・・・・・・何者なのよ?」
K子は、怪訝そうに俺の顔を覗きこんでくる。
「ば~か、俺は俺だよ。
心配するな。」
おでこが近いので、軽くデコピンしてやった。
額を抑えながらK子は言う。
「いいもん・・・。
どうせ私、馬鹿だもん・・・。」
そしてK子はふくれた。
おまえ、可愛すぎるよ・・・。