谷川たちが資料を持ってきたその後、Tも資料を持ってきた。
Tはもともと谷川たちのグループだったが、現在は離反している。
T本人も、谷川には顔を合わせにくいのかも知れない。
だから、すこし間を置いて持ってきたのだろう。
しかし、これで完成である。
「委員会とクラブの集計データー、持ってきたぞ?」
「おっ、ご苦労さん!
遂に出来たかぁ。
ありがとう。
さっき谷川たちも、資料を持ってきてくれたところだよ。」
「そうか。
で、集計結果なんだけど、
運動部で意外と体育館ってのが多いんだ。」
「なるほどな・・・。
たしか谷川の資料でも、体育館ってのが2番目に多かったな。
分かった、資料を持って相談してくるよ。
ありがとうな?」
Tから資料を預かり、俺は階段の方へ向かった。
「あら、もう行っちゃうの?」
K子が声をかけてくる。
「ああ、さっさと終わりたいからね?」
「全く、慌ただしい人ね?気を付けなさいよ?」
「おぅ、ちょっと行ってくる・・・。」
俺は3年の教室のある4階まで、階段を駆け上った。
M先輩の居る教室へ急ぐ。
が、しかし・・・。
「やぁ、妹よりも私に会いに来てくれたのかい?
妹には内緒にしておくからね?
うれしいなぁ・・・。」
いきなり抱きつかれた・・・。
嘘、先輩と同じクラス?なのか?
「お・・・お姉さん?」
「嫌だなぁ、私を名前で呼んでくれても良いんだぞ?」
「こらこら、そこで何遊んでるの?
まったく・・・。
おぅ、悪いな?」
「M先輩・・・。」
地獄に仏である・・・。
「私は遊んでなんかいないぞ?
年下でも、彼は立派な一人前の男だからな。」
「分かったから、邪魔しない・・・。
で、出来たのか?例の・・・。」
M先輩が助け舟を出してくれた。
「ええ、資料持ってきました。」
助かった・・・。
これで、やっと本題に入れる。
持参した資料を広げ、最終結論を模索する。
「最終候補、上位3っつに残ったのが、講堂、体育館、プールなんです。
これでは工期がかかります、いつ完成できるかどうか・・・。」
「じゃ、講堂と体育館を一緒に考えろよ。
大概、体育館で講演するのなんか当たり前だ。
それで一つ分の建築費、工期が浮く。
その分、プールに工期と予算を振り分けられるんじゃないか?」
「なるほど・・・。
さすがMちゃん。
あ、ゴメン・・・。」
「良いよ、前みたいな呼び方で。
俺も先輩なんて呼ばれるの、こそばゆくてな・・・。
しかし、よくここまでやってくれたよ。
助かった・・・。
すべて、任せて正解だったな?
それじゃ、明日、教頭先生のところへ持っていこう。」
そこへ、お姉さんが口を挟んでくる。
「ねぇ、その前に図書室の書庫は・・・?」
M先輩と俺は声を合わせた。
『却下します!』