M先輩との打ち合わせが済み、
4階の3年の教室から、やっと自分の教室に戻ってきた。
「ただいま~っ。」
「あら、お帰りな・・・。
ん・・・?
・・・ちょっと待って。」
俺は、いきなりK子に裾を引っ張られた。
なぜ引っ張られたのか分からず、K子に問いかける。
「なに?どうしたの・・・?」
一体どうしたんだ?K子のやつ・・・。
「女の匂いがするわ・・・。」
「えっ!?」
まさか、さっき抱きつかれた時の匂いなのか?
「ねぇ、あなた・・・。
いったい・・・、どこへ行ってらしたの?」
K子の口調が、いきなり変わった。
これは、かなり怒っている・・・。
「どうした?どうした?
ねぇ、浮気?浮気?」
YとEが、何事かと集まってくる。
「こらっ!
あんたたち!
余計な邪魔しないの!!」
そこにU子が割り込んで、YとEを静止させてくれた。
そして、K子の追及は続く・・・。
「ねっ?
わ・た・し・・・、怒らないから。
正直に話してくださる?」
「それはウソだろ?
怒らないって、目がすわってるじゃないか・・・。」
更にK子は、言葉を続ける・・・。
「な~に?
私に言えないところ?」
「だから、3年の教室だって。
お前だって、出かけるところ見てたろ?」
「それは分からないわよ。
私の見てないところを回って行ったのかもしれないし・・・。」
「疑り深いなぁ・・・。
そんな事、する訳ないだろ。
決して、怒られるような事は、し・て・ま・せ・ん。」
「本当?」
「はい!
天地神明に誓います!」
「そう・・・。
嘘だったら許さないからね・・・?」
「だから、嘘ついてないから・・・。」
まさか、移り香が残っているとは、思いもしなかった。
というか、女ってこんなに敏感なのか?
知らなかった・・・。
たかが匂いだけで、こんな窮地に陥るとは・・・。
「許してあげなよ、K子。」
U子がフォローしてくれる。
そうだそうだ、感謝するぞU子。
さすが、俺の幼馴染だ。
だがK子の不信感は、これで治まらなかった・・・。
「だってU子ちゃん。
間違いなく、これ女の匂いよ?
しかも、あの女の匂い・・・。
この人、保健室の女と会ってたんだわ・・・。
きっと・・・。
そうに違いないわ!!」
ちょっと待て!
そこまで、匂いを嗅ぎ分けられるものか!?
確かに姉妹だから、似てても当然かも知れないが・・・。
狩猟犬並みの嗅覚だな・・・。
女の怖さを始めて知った・・・。
すると、S美を知っているU子の顔色が変わった。
「えっ!?
わかった!
私が事情をキッチリ聴いてくるから、K子はココに居なさい。
まず、落ち着きなさい!
いいわね?」
U子はK子をなだめて座らせた。
「ちょっと、あんたはコッチにいらっしゃい・・・。」
俺はU子に連れられて、廊下に出た。
まるで、罪人のように・・・。
YとEは、陰からこちらを伺っている。
おいコラッ!
お前らも、ちょっとは俺をフォローしろよ!
おまえら、パパラッチか!!