廊下に出ると、U子は俺の周りを回りだす。
「あ、本当だ・・・。
女の匂い、してるわぁ。」
「マジかよ?
全然、気づかなかった・・・。
だいたい匂いで、相手を特定出来るものなのか?」
「そうよ!
特に恋する乙女は、敏感なのよ!
で・・・、あんた。
本当に、S美ちゃんに会ってたの?」
「会ってない、会ってない。
断った相手に、わざわざ会いに行くか?普通・・・。」
「じゃ、なんで女の匂いさせてるのよ?」
「S美のお姉さんに、抱きつかれた・・・。」
「え~っ!?
なんで、抱きつかれたのよ?
おかしいじゃないの?」
「だ~か~ら~。」
俺はU子に説明した。
まず、S美からの申し出を断ったところ、
後でS美のお姉さんから、俺に文句が来たこと。
そして、S美に断った理由をお姉さんに説明したところ、
逆に、お姉さんに俺が気に入られてしまったらしいこと。
更に悪いことに、お姉さんがM先輩のクラスメイトであったこと。
これらの事をU子に説明した。
「そうかぁ、そりゃ最悪だわぁ~。
困ったわねぇ。
三角関係どころか、四角関係かぁ・・・。
まるで泥沼じゃない?
こりゃ、あんたがハッキリするしかないんじゃないの?
もう、K子に告白しちゃいなさいよ。
きっとK子も待ってるよ?」
「知ってる・・・。
焦れてると思う・・・。」
「じゃあ、なんで『好き』って言ってあげないのよ?」
「まだ早すぎると思う・・・。
正直、怖いんだ・・・。
今の関係を壊すのが・・・。
俺が、あいつの自由を奪ってしまうんじゃないのか?って・・・。」
「相変わらず、優しいのね?
でも男は時に、女に対して強引さも必要なんだよ?
逆に女は、それを待っているんだから・・・。
よく覚えておきなさい?」
「そういうものなのか?」
「そうよ・・・、そんなものなのよ。
んじゃ、仕方がない。
U子さんが、二人の間を取り持ってやろうじゃない!
私が呼ぶまで、ココに居なさいよ?
良いわね?」
「わかった・・・。」
U子は教室の中へ戻っていった。
そして、K子と話をしている。
いずれにせよ、もうU子に全てを託す以外、俺には手立てがない。