翌日、職員室の前でM先輩と待ち合わせることにした。
また、お姉さんの邪魔が入らないとも限らない。
それよりも、K子を心配させたくない。
抱きつかれるのは、もうゴメンだ・・・。
「それじゃ、行ってくる。」
「ねぇ?
保健室に、寄り道しないでね?」
そう、保健室にはS美本人が居る。
K子はやはり、S美を警戒しているようだ。
「寄り道しないから、心配するな。
俺を信じろ。」
そうして俺は、職員室へ向かった。
すると、すでにM先輩が待っていた。
「おぅ、来たな?
それじゃあ、行くか・・・。」
「失礼します。」
二人で職員室に入る。
「設備建設の件、結果報告に来ました。」
教頭先生が出迎えてくれた。
「おおっ、君たちか。
あれからまだ一週間も経っていないのに、
もう終わったのかね?」
「はい。
彼の取り仕切りで、全て終了しました。」
先輩が教頭先生に報告する。
「こちらが、その結果と素案です。」
俺は、持参した資料を教頭先生に差し出す。
「やはり、君たちは早いなぁ~。
校長も、ご覧ください。」
奥に居た校長先生が、笑顔でやってきた。
やはり、校長先生の采配であったようだ。
教頭から受け取った資料を念入りに目を通している。
「なるほど。
講堂兼体育館の建設を第一に、続いてプール建設の順ですか・・・。
分かりました。
早速、この順序で、市の審議にかけましょう。」
「校長。
年内中に、体育館施設が完成すると良いですな?」
「そうですねぇ。
年内中には、間に合わせたいですねぇ。
校庭での卒業式は、やはり厳しいものがありますからね。
君たちの卒業式には、是非とも間に合わせたいものです。」
そうだ、昨年の卒業式は、整地されていない校庭で行われた。
確か、風の強い日で、苦労させられたのを覚えている。
とりあえず完成すれば、あらゆる催しが滞りなく行われるであろう。
これで、ひと仕事が終わった。
やっと平穏な学生生活を満喫出来る・・・。
と、思っていたのだが・・・。
校長先生が口を開いた。
「こんなに早くプランが出来上がるとは、予想外だったよ。
さすが君たちだ。
どうだろうか?
地域の方々を含めて、文化祭のプランもお願いできないかな?」
えっ?
これで終わりじゃないんですか?
M先輩が、口を開く。
「私は3年ですので、受験に専念させて頂きたいのですが・・・。」
「そうか、そうだったね。
それでは、まだ2年の君にやってもらえないかな?」
うっ、校長先生自ら指名されてしまった・・・。
断ろうとした矢先、
「彼なら大丈夫ですよ。
今回の件も、彼がやったものですから。」
え~~~~っ!?
訳も分からないまま、先輩からも後押しされた。
結果、実行委員長を拝命した・・・。
なんて事だ!
俺の平穏は、どこへ消えた!!
「酷いよ、Mちゃん・・・。
俺も断ろうと思ってたのに・・・。」
「まぁ、そう言うな。
俺も、手伝えるところは手伝うからさ・・・。
いい経験になるぞ?」