俺は放課後、校庭で空を眺めていた。
初夏を感じさせる、青臭い空気と風。
そして、青く高い空が頭上に広がっている。
非常に気持ちが良い。
これから始めなければならない、文化祭の段取り。
地域商店街への配慮。
様々なことが、頭の中を駆け巡る。
そんな気分転換には、もってこいの天気である。
何気なく、ふと昇降口近くに目を向けると、
K子とS美がこちらを見ながら、二人だけで話しをしていた。
どうして、あの二人が会っているのだろうか?
俺は、いささか疑問を感じた。
この二人が会うのは、
保健室に担ぎ込んだ時と、登校途中の二度だけである。
そして俺の知る限りでは、今回が三度目の筈だ・・・。
K子とS美が、二人だけで会っている・・・。
はて・・・?
いつの間に、二人は仲良くなったのだろうか?
などと、自分に都合よく解釈したいが、嫌な予感がする。
今までの経緯からも、決してコチラの都合よくなど、いく筈が無いのだ。
何事も無ければ良いのだが・・・。
だが、悪い予感ほど的中するものである。
翌日、登校するや否や、K子が俺に迫って来た。
「ねぇ!
わたし、あの子に負けたくないのっ!
だから、勉強教えてっ!」
「へっ?
いったい何?
いきなり・・・。
俺に分かる様に、説明してくれる?」
「だから絶対、あの女に負けたくないのよっ!!
いいからあなたは、わたしに勉強教えなさいっ!!
いいわねっ!?」
「あ?ああっ・・・。」
K子の迫力に押されて、理由も分からず返答してしまった・・・。
あの女とは、S美の事なのか?
だとすればS美はK子に、何らかの宣戦布告でもしたのだろうか?