俺は結局、経緯が分からぬまま、K子に各教科を教える羽目になった。
どうやら二人は、成績を競っているらしい事までは理解した。
そしてどうやら、S美からK子への挑戦でもあるようだ。
俺がK子に教える以上、K子がS美に負けるはずがない。
・・・と、思うのだが。
こればかりは、本人の理解力に依存される。
見たところ、頭の回転はK子が上だろう。
まず基本を重点に、それを応用する事にした。
まぁ元々、俺は暗記が大嫌いだ。
暗記量など、少ないに越したことはない。
楽が出来るなら、それが一番良い。
そのやり方を今、K子に教えようとしている。
そして問題への応用は、頭の回転速度と経験に依存される。
果たして、どこまで出来るのか?
俺の経験と知識をK子に全て託すつもりで、臨むしかないだろう。
「それじゃあ、良い?
恥ずかしがらずに、分かるまで聞いて良いから。
決して中途半端に、分からないままにしない事。
良いね?」
「ええ、わかったわ。」
K子は、うなずいた。
そして、二人の勉強会が始まった。
すると、それを見ていたEやY、C子やU子達までもが、
我も我もと参加してくるようになっていた。
客観的に見ていると、大概つまづく処は同じような箇所で、
勘違いや理解不足が、おおかたの原因なのだ。
「これはね?
こうすれば、解けるのよ。」
いつの間にかK子は、
自分が理解し、教えられるところを教えるようになっていた。
「おおっ!
すげ~っ!!」
「ああっ、そうなのねぇ!」
YやE、C子にU子が驚嘆の声を上げている。
俺は、それを黙って見ていた。
人に教えられるようになれば、
自分の復習にもなり、自信に繋がるものだ。
良い傾向だ・・・。
これなら、S美に勝てるかも知れない・・・。