東日本大震災がおこった直後「絆!絆!!」と世間が連呼しまくってたけど、その後絆はどうなったんだろうなー?と思うくらい2014年は他人に対して疑心暗鬼にならないといけないニュースが多かったなー、なんてことをこの小説を読みながら思いふけっておりました。
宣伝文句で書かれていた程度のネタバレ込みであらすじを書きますと、主人公のお父さんは東西冷戦時代国産の原発開発プロジェクトに参加してたって過去をひたすら隠して瀬戸内海で漁師として第二の人生を生きてきてたってわけなんです。
そんなお父さんは東日本大震災をニュースで見て「こんな秘密を抱えたままにしていていいのか」と悩むのですが、その直後ガンが発覚。今際の際に、事実を公表するか否かを娘に託すわけなんですね。
そんな秘密は娘もどうするか悩むわけで、プロジェクトの中枢人物に会いに行くことを決意するわけなんですが、なんせ国家機密。日本政府や公安は娘に「父親殺し」の罪を着せて全国指名手配をするのでした。
かくして主人公は、信頼できる知人友人を頼りながら、日本の警察の目を盗みかい潜り、目的を果たそうとするわけなのですがいったいどうなることやら。
というストーリーなのですが、ここで描かれるのはすっかり忘れていた「絆」の力のように感じた次第です。
公安というパブリックなパワーに、主人公が今までの人生で築き上げてきた縁で立ち向かう。
ああ、ぼくらは震災以降こういうストーリーがだいすきだったな。と。あのとき「絆」と叫んだことをキミ達は忘れたのか!?と問われているように感じた物語でした。
面白かったっす。