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新田真子さんの公開日記

2011年
08月27日
19:05
「レインボー戦隊ロビン」の看護兼メインテナンスロボット。
モノクロの作品ですが、オフィシャル・カラーはこれ。
知人の同人誌に寄稿した(させられた)物に色をつけてみましたよ。

「レインボー戦隊ロビン」は東映動画初期のTVアニメーションシリーズで日本初のチーム・ヒーロー・アニメ。原作は石森(当時)章太郎、藤子不二雄(当時)らの参加したスタジオ・ゼロ。
放映当時は白黒だったが、映画「サイボーグ009怪獣大戦争」にカメオ出演するさいカラーが決められたと推測される。ただし、「レインボー戦隊ロビン」放映当時、スタジオ・ゼロによる漫画が連載されており、基本カラーはその時すでに決定していたと思われるが、漫画とアニメではキャラクターに食い違いがあり、アニメーション用には「サイボーグ009」に登場の際に正式決定されたと考えられる。

当時TVを見ていた子供たちには正式カラーがわかるはずもなく、それぞれ勝手に色をイメージしていたはず。当時の白黒アニメは絵具も白黒用の灰色階調のものが使われていて、セル画(セル画ってわかりますよね)も白黒なのだった。
わたしがイメージしていたのは青い服。実は履いているのもハイソックスではなく、白いロングブーツだと思っていた。

この当時、初期のTVアニメーションはいわゆる少年ヒーローを主人公にしたSFアニメが大流行。「レインボー戦隊ロビン」のほかにも「宇宙パトロール・ホッパ」「遊星仮面」「遊星少年パピー」「宇宙少年ソラン」「スーパー・ジェッター」などがあった。なつかしいなあ。
キャラクター商品のひとつとしてガムが流行していてね、ガムにはおまけとしてその包み紙に転写シール(透明シートにシール状の絵が印刷されていて、上から擦ると、絵が下のものに転写される。上手くこすらないと透明シートをはがすとき絵がくっついたりくっついていなかったりして大変なことになってしまうのであった)がついていて、冷蔵庫だのたんすだの机だの手当たり次第に貼りまくって親に怒られた。転写した絵も定着が甘くてツメで擦るとその部分がはがれるのだが、全部きれいにはがすのはなかなか大変なのだった。

今となっては懐かしい限りなのだが、改めて観ると、しまった、観なきゃ良かった、てな作品が多いのも事実。
これはしょうがないですね。
TVアニメ黎明期では製作者側もどうやったら週に一回30分のTVアニメーションを製作できるのかよくわかっていなかった感があって、それはそれは大変そうな雰囲気が画面からにじみでているのであった。そういう意味で「鉄人28号」第1話などは名作というしかあるまい、と洗面器。
しかし、なかには、当時の新進気鋭のSF作家たちが脚本を担当した、などと、まるで時代を先取りした本格SFのように言われている作品もあるのだが、具体的には「スーパージェッター」とかね、確かに当時は楽しく見ていたのだが、今観ると、あ、こいつら、相手はどうせ子供だと思って酒でものんで脚本書きやがったな、と思わずにはいられないエピソードもあったりして、大人ってずるい、といまさらながら思うのであった。
だいたい当時のアニメが面白かったという人は当時の思い出だけで語っていて、大人になって改めて見返してからの評価でない場合が多いから(わたしも含めて)あんまり信用してはいけない。
そんななか、この「レインボー戦隊ロビン」はかなりまともな作品なのだった。前半がスタジオ・ゼロ原作の「パルタ星編」j後半が一話完結の東映動画オリジナル編という、2部構成。一話完結編は出来不出来があるものの、長編「パルタ星編」はよく考えられている好編ではなかろうか。
宇宙の彼方パルタ星は星の寿命が尽きようとしていたが、独裁者の支配の下、移住先を我々の地球と定め、先遣隊を調査に送り込んでいた。しかし、パルタ先遣隊のひとりである科学者は地球人の女性と愛し合い、二人の間に子供が生まれる。パルタ星帰還の時、科学者は地球人の恋人と二人、二つの星を信頼で結び、平和の内に移住交渉をすることが出来ると説得するべくパルタ星と向かうのだったが、しかしかねてからパルタ星の強硬派、実力で地球を制圧移住すべしとの勢力の台頭も懸念していた。そのため、二人の間の子供を自ら設計製作したロボットたちにまかせ、万が一のときはパルタ星の侵略軍から地球を防衛する役目を担わせるべく教育させるのだった。そして、10数年の時が流れ、ついにパルタ星から地球侵略軍が到来する。地球を凌駕する科学力を持つパルタ星軍の前に危機に陥る地球、その時現れたのがパルタ軍に匹敵する能力を持つ6体のロボットとそのリーダーである少年。彼らはレインボー戦隊となのり、地球防衛のためパルタ星侵略軍との戦いにその身を投じるのであった。というのがストーリー。
すでにこのバックボーンからして、なかなかよくできてる。
そもそも主人公のロビンはパルタ人と地球人の混血だし、父と母は両者の平和のために遠いパルタ星にいて消息不明。ロビンは二つのふるさとの間に立って戦うという難しい立場にいる。本編のストーリーもレインボー戦隊とパルタ軍は単に敵味方というだけでなくそれぞれの星の運命を背負っての戦いであり、またパルタ星にも強硬派と穏健派の勢力があり、単純に敵を倒せばいいという考えのものではない。また、レインボー戦隊も市民には受け入れられていても、正体不明のチームとして時には地球軍からは胡散臭い眼で見られていたり、ロビンをライバル視する地球軍のパイロットや、パルタ星軍のエースとの避け難い対決を描いたり、後半ではパルタ星で独裁に反対するレジスタンス運動がはじまり、レインボー戦隊は彼らを助けるべく、また、パルタ人の未来を救うべくパルタ星へと向かい、その途中で、パルタ地球侵略軍の中継基地にされた星を解放したりと、なかなか大きなスケールでストーリーが展開するのであった。
もちろん当時、今から半世紀近くも前のTVアニメ黎明期の作品であるからその表現方法などは手探りのものだったりもするのだが、あきらかに後の「宇宙戦艦ヤマト」や「コンバトラーV」に始まる東映動画合体ロボットシリーズの萌芽がみてとれるのであった。
レインボー戦隊自体に目を移せば、リーダーの少年「ロビン」。その愛機、おそらく世界初のロボット変形ロケット戦闘機「ペガサス」。怪力大型白兵戦ロボット「ベンケイ」。情報集積分析ロボ「教授」。早期警戒レーダーおよび各種センサーロボ「ベル」。身体に武器を備え、また各種武器を使いこなすニヒルな戦闘用アンドロイド「ウルフ」。そして、看護およびレインボー戦隊のメインテナンス用万能メカニックアンドロイド「リリ」という、能力分散型の戦闘チームというのも、アメコミヒーローとはまた違ったキャラクターが成立している。ここではやはりロボットからロケット戦闘機に変形というペガサスのアイディアが秀逸だろう。自律ロボットではあるが、戦闘機になればロビンの操縦で手足となって戦うというスタイルが新しい。手足のあるロボットから戦闘機への変形というまさにその後の変形ロボットの先駆けであると同時に、人工知能を搭載しロボットとして自律してパイロットと会話も交わす、ある意味、後の人気SFアクションドラマ「ナイトライダー」のKiTTの超先取りともいえるだろう。また、早期警戒レーダーロボ「ベル」は、スタジオ・ゼロの原作ではその名も「レーダー」という機械の体のレーダーメカなのだが、アニメ版ではしゃべるちょっとなまいきな猫の女の子ロボという時代を先取りしすぎのキャラクターなのだった。そして「リリ」。実はレインボー戦隊のメカのなかで唯一ロビンの父によって作られたロボットで、ロビンの育児はもちろん、残された設計図を元にレインボー戦隊のすべてのメカを製作したのがリリなのだった。よって、人間の育児、怪我・病人の看護はもちろんあらゆるメカに対応できる万能メカニックの女性キャラクターというこれまた時代を先取りしすぎのキャラクターなのだった。