ぼくはアナログでは日本画なんかを描いていて、アマチュアの公募展に応募したりしてるんですね。
そんなぼくの日本画の先生は「一枚の絵を描くために、下図(完成版の試作品みたいなもんです)は最低20枚描きなさい。」と言われてたのですよ。
ひとつのテーマについて20回くらい構図配色を試行錯誤しなければ、良い絵は完成しないよってことなんですね。
だがしかし、別に本業があり家族がある身としては、なかなかそんな余裕はなかったんですよ。
が、この悩みを解消してくれたのがPhotoshopとタブレットと大きなディスプレイですよ。最近ではある程度紙に下絵を描いたら、後はパソコンに取り込んで試行錯誤するようにしてます。
これがいい。
日本画は用具が高価で、ぼくが描いてるサイズ(120×90センチくらい)だと一枚描くのに3〜4万円かかるのです。そこで「もうこれを拡大転写して日本画で描くぞ。」ってとこまでデジタルでやってしまってから本制作に入れば、途中で「失敗した!塗りつぶし!!」とか最悪「失敗した!破棄!!」ってリスクを考えたとき凄い効率的。
伝統の様式からすれば異端もいいところでしょうが、異端の先に前衛があるのだと言い聞かせてやっています。
「下図をデジタルで描いてます」というのは先生には言えませんが。
ただ、デジタルのおかげでアナログなファインアートの間口が広がるなら、それは凄く良いことだな。と思うのでした。