谷川ケン、まさかコイツがK子のワダカマリの元凶だったとは・・・。
他人を蹴落とすことで、優越感に浸るタイプの人間だ。
個人的にも関わりたくない。
確かに秀才(?)肌だが、人が悪く周りからの評判も悪い。
いままで、そいつと俺をK子は同一視していたのだ。
個人的にも非常に心外な事ではあるのだが・・・。
まぁ、学年学力テスト上位者の俺を
奴と同じ性格の人間と思われていても、
仕方のないことなのだろうか・・・?
いや、だからってそれは酷いんじゃないか!?
成績優秀でも、人間らしく優しい奴だっているんだよ。
しかもココに!!
そこは強く強調したいよ!!
強調しなけりゃ、俺の立場がないでしょ。
でも、そのわだかまりが解けた瞬間(いま)、
K子の態度が一変したのは当然の成り行きだったのだろう・・・。
なぜかK子は、俺のそばにいる事が多くなった。
そしていつの間にか俺も、
K子がそばにいることが当たり前であるかのように思うようになっていた。
そうなれば当然、冷やかしの声が上がってくるのが世の常。
決まって出てくる言葉は・・・。
「旦那さん、今日はいないの?」とか
「奥さんも大変ねぇ~。」である・・・。
それに対するK子の対応といえば・・・。
「宅の主人、ちょっと出かけていますのよ。」と
「いいえ~、そんなことございませんわぁ~。」だ。
完全に遊んでる・・・。
大した女だよ、お前は・・・。
これだけ肝の据わった女性は、オフクロ以外見たことがない。
これなら妻として、当家に迎えられるかもしれない・・・。
いつの間にか俺の心の中で、K子への恋心が芽生え始めていた。