「今だけは、昔の話をしないでください」
この世界には魔法がある。でもそれは、ただの結果論にすぎなかった。
私が知っている魔法と言えば、空を飛んだり、海を割ったりするような
どこかで聞いた話の中の出来事だった。
この朝御飯の卵を焼いている火も、実は魔法かもしれない。
お米を炊いているコレだって魔法かもしれない。
僕には何が魔法で、それ魔法だと判断する知識がなかった。
ただ一つだけ、僕は魔法を知っていた。
昔、何かの宴席に魔法使いが来たんだ。
そこでは手品をして見せる人もいたけれど
魔法使いは手品をしなかった。
それは多分、見世物じゃなかったんだと思う。
「君はここに来てはいけないよ」と、魔法使いが子供の頭をなでると
子供は犬になって、庭へ逃げて行ったんだ。
その、ただ一つだけの魔法はきっと僕だけしか見ていなかった。
魔法使いはその宴席でみんなに言っていた言葉がある。
僕はそれを口にすることで魔法使いになった気分で
いつか、口癖になってしまってしまったんだ。
それで今でも覚えているのさ。
「昔の話をしないでください。これが素直になれる魔法です」
流石にね。今となっては、これが魔法だとは思ってもいないけれど。
Good
Old #001 始まりのお別れ
Story
////// ここから後日、書き書き。
小話のひとつくらい、連休に書上げたいです。
シナリオ決まってる分くらいの草書くらいは
こんなかんじで仕上げたいなぁ。