某トランプ企画 clover3 より。気まぐれ短編小説~
メインは4コマに描ける程度の物にしようかと。
世界観は私の創作と同じ物を使用して宣伝と言うことで一つw
「ンヴィーョー」
と鹿の真似をするオヤジ。彼は元々人間であったが今は鹿である。いや、正確に言えば鹿の姿を借りたオヤジである。中身は大して変ってはいない。彼は今も私のオヤジである。オヤジの勤めとして人生の助言もしてくれる。
一つだけ確かに変わったことがある。私がオヤジを正面から見れるようになったことだ。人間である頃は酷かった。胸像のように机に隠れた姿か、横目で見る程度でしか見れなかった。別に他人ならそこまで気にすることは無かったけれど、家族となるとそれは異なる。親の顔を見せたくない子だったのだ。いやせめて、顔だけなら良かっただろう。顔だけなら鹿にも負けない円らな瞳をしていた。だからこそ、逆に気持ちが悪くて見れなかったと言うべきか。この親にしてこの子あり、などと言われた日には憂鬱を通り越して発狂するだろう。鹿になるようなオヤジの子であるものか!
私は今でも信じていない。どうして人間が鹿になるのか。彼が人間であった証拠を持たない限り、彼は家畜か番犬である。しかし彼はオヤジのつもりである。そしてそれに甘んじていることは認めよう。たまにくれる小遣いがありがたいから止めれないという点では私もまだまだ子供なのだ。
そう思っていた矢先に母親が潔く死んでしまった。我が家の収入源は無くなった。オヤジは俺が稼いでくるからちょっと待っててくれと出かけて、代わりに占い師を名乗る別の鹿が現れた。何故かは知らぬが、そいつも見事に人間の言葉を話すのだ。ということは私と同じような境遇にある子供が他にもいるかもしれないと思うと少し安心した。そして、その心の内を占い鹿に話してみると、私は生まれも育ちも鹿だから分からないと言う。悔しかった。私は時計の針を戻してみた。占い鹿は笑っていた。人の声で。イライラした挙句、私は鹿に名前を付けてやった。嫌みのつもりだった。
「あなたは今日からランランよ!」
占い鹿は純粋に喜んだ。
「ありがとう。ランラン…。いい名前ね。
ところで娘さん。あなたの名前は?」
「私はシリナ。人間生まれで人間育ちよ」
間違っても鹿とは縁が無いことを告げたつもりだったのだが、翌日、ランランが持ってきたプレゼントの袋の中には、鹿の耳が描かれた帽子が入っていた。
「名前をくれたお礼よ。仲良くしましょうね」
因果応報とはコレか。しかし、これにもし悪気があるとしたら仲良くやっていけるような気もした。似た者同士。私は少し情けなくて、でも嬉しくて笑った。
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感想もとい、ご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
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っていうのをやってみようと思うんだがどうかな!らっぴー。