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十円さんの公開日記

2011年
02月07日
13:49
「アレックスと私」
知る人ぞ知る天才ヨウム、アレックスくんと研究者アイリーン・M・ペパーバーグ氏の軌跡を綴った書です。
「本の感想」というより「読んで思ったこと」w



「鳥は心を持っている」
というか、
「生き物は人間と同じく心を持つ」
という概念は、動物を飼っている(あるいは飼ったことのある)人なら特に抵抗なく受け入れられる考え方だと思うのですが、科学的にそれを立証しようとすると「有り得ない」という、およそ主観的かつ感情的な理由から排斥されようとする滑稽さ。

人間って、もしや一番おバカ・・・?www

そんな中で著者が苦労を重ねながら鳥たちの能力証明に奔走する姿には心打たれます。今も生活は安定してなさそうですね。アレックスを失って研究はちゃんと続けていられるんだろうか。正規に認められた研究分野ではなさそうなので、ちょっと心配。がんばれ、アイリーンさん!!


アレックスくんはこの世にもういないけど、これからもぜひ、アレックス唯一羽が天才であり特別だったのではなく、押し並べて全ての鳥類が持ち得る能力である、と証明して欲しいですね。後継者のワートくんやグリフィンくんも高い能力を持っている様子だし。
動画を検索すると「それならうちの子だって!」と言わんばかりに多くのインコ、オウムの投稿がありました。あれらのコミュニケーション能力は、単なる「オウム返し」の域を越えていると感じるのは鳥好きの欲目かな。

アレックスが人の言語を理解し、それを使いこなせると証明したことは、人間と他の動物の間にある(と人間が考えてきた)垣根を崩す大きな一歩。
「有り得ないなんてことは有り得ない」
わたしの好きなマンガの、ある作中人物のセリフです(笑)。事物を決めつけ、固定観念から抜け出そうとしないのは愚かなこと。そもそも動物たちが物を考えない、心を持たないなどという発想がどこから来るのか、そっちの方が理解に苦しむ。どう見たって考えてるし感じてるでしょ。

今日の研究では、大脳皮質ではないが、それにあたるものが鳥類の脳にもある、という考え方が生まれているようで。いよいよ従来の視点をかえる時期が来ているのかも?
少なくともヨウムはクジラ、イルカ並の知能が認められているようですね。インコ、オウム類の賢さは、足を使って道具を利用できることからも顕著だから。

でも先日読んだ「ある小さなスズメの記録」からはフィンチ系の鳥だって高い知能がありそうに感じられますよ。
賢い鳥の代表格で言えばカラスだってそう。
例えば祖母が生前飼っていたカラスは、祖母以外の人間には決して手を触れさせなかったそうです。家屋の中では糞をすることもなく、屋外でも祖母が名を呼べば戻って肩に止まったのだ、とは母の証言。これはカラスが祖母を認識し、家全体を「巣」と考え、名を自分を呼ぶ声であると理解していたことを表しています。

じゃあ鶏だって賢くってしかも心を持ってるんじゃないの?

と思ったというのはまた別のお話。

人間が自分の都合で勝手に決め付けている動物たちの能力、キャパシティーは、実はほとんど解明されてはいないんだなぁ。もっと謙虚に世界を見回して、いろいろな生き物の声に耳を傾けないといけないなぁ。
そんなことを考えながら読んだ一冊でした。
動物行動学。面白そう。もしもう一回人生やり直しできるなら研究したいテーマです。
むーん。
「大学へ」というのはムリだけど、今からでもかじってみようかな。