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新田真子さんの公開日記

2011年
05月25日
22:08
物理的にはこの世界の基本ルールなので、親の言うことは聞けなくても、慣性の法則には従わざるを得ないわけだけど、精神的にも慣性は働くものなのだな。やらなきゃならないことがあってもなかなか思うように腰が上がらないなどというのは明らかに慣性。一度はじめるとなかなか止まらないのも慣性。ちなみに、慣性とは「今ある状態を保とうとする性質」のことですからね。(相対的に)止まっているものは止まったまま、動いているものは動いたままを保とうとするのが慣性。

ヨーロッパのアニメをあれこれみていたら、慣性が働いてついでにユーラシア大陸を東に行ってみようかということになり、インド、東南アジアのTVアニメなど観てみたいものだということで、カートゥーン・ネットワーク(以下CN)とニコロデオン(以下ニック)のそれぞれインド・東南アジアのサイトを覗いてみたですよ。
映画はね、きっと探せばすぐ見つかったりするんでしょうけれど、ここはあくまでTVアニメにこだわってみたいと、そんな感じで。

インドではCN、ニック共に、ほぼ両局の世界展開番組が流れている状態で、残念ながら現地産の作品はほとんどみあたらなかったのだけど、さすが世界第一の映画大国インド。ちゃんとCNで、インド・オリジナル・アニメ・シリーズを放映してました。最新のシリーズは「Roll No.21」というフラッシュアニメーション。絵柄の雰囲気はわりとスマートで、デザインは「クラスメイトはモンキー」と「リプレイス大人とりかえ作戦」を足して2でわったような雰囲気。これまたアメリカン・カートゥーンだといわれればそのままそうだと思ってしまいそうな学園ファンタジーコメディ。どのへんがファンタジーなのかというと、主人公が、クリシュナ(ヴィシュヌ)だから。ヒンズー教の神様ね。孤児にむけて作られた学校の校長は表向きは子供思いの善人だが、実は子供たちを悪に染め、自前の悪の軍隊を作ろうとたくらむ悪い人。その野望を挫くため天界の神々から使わされたクリシュナは少年クリスに姿を変え、悪の校長とその手下の悪の先生たちと戦うのだ、というお話らしいですよ。これはどうでしょう。ちゃんと見てみないと面白いのかどうかわからないプロットですね。タイトルの「roll no.21」の意味もよくわからないし。動きのほうはさすがにパワー全開で動きまくるアメリカなみというわけには行かず、せっかくのフラッシュを使いこなせていない感がいなめない。これは後で他のアニメも見てわかったことだけれど、やや切り絵アニメ調のリミテッドアニメくささがぬけていなのは、今のインドTVアニメの傾向のようですね。
ほかにもうひとつクリシュナが主人公のアニメがあり、クリシュナのお話はしょっちゅうアニメ化されているようですね。
さらにもうひとつが「アーマ・チトラ・カータ」というインドで最も人気のある漫画シリーズの同名のアニメ化作品。インド神話や聖典、英雄談などを題材に1967年から続いている漫画シリーズらしい。やはり漫画をアニメにというのは世界共通なのだなあ。絵とお話がそろっているからやりやすいですもんね。
しかし、ヨーロッパの漫画事情も詳しいことはわかりませんが、インドの漫画事情なんて輪をかけてわからないなあ。

クリシュナ(ヴィシュヌ)といえば世界の神様は数々あれど、おそらくもっとも面倒見がいいというか、頼まれるとイヤといえないというか、困った人(神)は見捨てて置けないというかとにかくいい人(神)で、しかも男前だそうだから、インドでも人気者なんでしょうね。
インド(ヒンドゥー)の神様は肌が青いんですが、なんでも本当は神様は黒い肌だけど、絵にする時は肌を黒に塗ると何がなんだかわからなくなるので、わかりやすく青にしているんだとか。だからアニメでもクリシュナは青い肌なので一目で神様とわかるのだった。いいえ、ガミラス人じゃありませんよ、決して。

そんなわけで、ヒンドゥーの神話英雄談アニメが花盛り(?)っぽいインドアニメなのだったが、それだけだとは思えない。インドの子供たちだって、毎日青い肌の神様ばっかり見たいと思ってるわけじゃあるまい、と洗面器。きっとCNやニックじゃなくて、現地の放送局でいろいろ流れてたりするのだろうなあ。どんなアニメなのかは想像もつかないけど。

一方、東南アジアCNとニックでは、現地産と思われるアニメが見当たらなかった。見当たらなかったんだけど、日本よりずっと色々なCN作品を放送していて、うらやましくなってしまうのだった。もちろんニックのアニメもご同様。日本じゃ放送局がなくなってしまったというのにこの差は何?

東南アジアといえば、ウルトラマンが国民的人気のタイや、BAUアジア環太平洋大学ロボコンで何度も優勝している近代化著しいベトナム、観光立国のマレーシアなどがあるので、きっとなにか変な(失礼)アニメの一つや二つは作っているに違いないのだけれどなあ。きっと現地の放送局で流れているんじゃなかろうか。

このままでは当初の目的が果たせないので、Google スタート。各国を調べる作業に入るのだった。
タイ、ベトナムでは失敗。
しかし、マレーシアではいくつか発見しましたよ。
漫画原作の「Kumpung boy(村の少年)」は、国際アニメーション祭のアヌシーにも出品されたらしい。ほかにもサッカーアニメ「bola kumpung」だとか、2人の少年たぶん双子の兄弟が主人公の3DCGアニメ「upin & ipin」、3DCGアニメ「saladin」動きとモデリングはちょっとしょぼいけど、デザインはなかなかかっこいいかも。2Dほのぼの動物ギャグカートゥーン「Chingkus」ええ、チンカスと読んでくださって結構ですよ。主題歌でチンカスチンカス歌ってますからね。それぞれ空を飛ぶ、3人に分身、スーパースピードのスーパーパワーを持つ3人組の少年少女が主役のアクションコメディ3DCGアニメ「boboiboy」など。どうよ。けっこう作ってるじゃないの。「サラディン」以外はいずれも低年齢層向けのキッズアニメ。2Dも3Dも絵が綺麗だし、普通に見られそうなアニメばかり。気が付いたのはムスリムのキャラクターが多いこと。マレーシアはわりとイスラムの国なんですね。
少年の主人公はみなきちんと短い髪でこざっぱりしているよ。日本みたいに怪物のようなヘアスタイルじゃないんですね。それにしてもマレーシアでは今は3DCGアニメが中心だとは思わなかった。最近日本に入ってくるキッズ・アニメも3DGCが多いですからね。キッズ・アニメは3DCGというのは世界的な流れなのだろうか。

インドにもどって見つけました。キッズ向け専門チャンネルpogo tv。(インドから見て)海外のアニメに混じってインド・オリジナル・TVアニメ・シリーズもちゃんとある。
これだ。こういうTVアニメを待っていたのだ。いやいや、いい意味でね。っていうのはどういう意味なんだ。
サイトには各作品ごとのキャラクター紹介ページが用意されていないため名前がわからないキャラも多いので、あしからず。
the new adventures of hanuman
ヒンドゥーのお猿ヒーロー、ハヌマーンに変身する心正しい少年が活躍するアニメ映画 return of hanuman をもとにTVシリーズ化した作品らしい。クリシュナ同様、ハヌマーンも人気あるんですね。
寄宿制の小学校に通う少年 Maruti が主人公。パイロット版で見る限り携帯電話にカードを挿して、いいえ、間違ってません。携帯にカード入れてます。光りました。それでハヌマーンに変身。さすがにこれはないと思ったのか、TVシリーズでは不思議な小さな金の杓のペンダントが変身アイテムになってました。一安心。ある日手に入れたその金のペンダントの力でハヌマーンに変身し、血走った目のあやしいオッサン科学者や正体不明のエイリアンと神通力で戦うのであった。でもその正体はだれも知らない。眼鏡のヒロイン、気の弱い友達、いじめっ子など基本のキャラクターをそろえてあるシチュエーション・ドラマ。 先生はわりかし色白のインド美人、インドですからね。フラッシュ・アニメーションで、絵はデザインは別として普通に漫画の絵だが、普段の動きではあまりデッサンを気にしていない様子。もうすこし気にしてもばちはあたらないんじゃないかな、と思うんだけど。動きの雰囲気はアメリカやヨーロッパのようにがんがん動くというよりは、サウスパークに近い感じ。音楽が不思議なメロディでいい感じ。以下2つのアニメシリーズの舞台が村なのに対して、その服装や学校の校舎から都市部に近いと思われる。
kumbh karan
森で拾われ老人たちに育てられた見た目の違う双子、くいしんぼうで大きい体、のんきもので力持ちのkumbh と、知恵が回って怖いもの知らず、悪戯好きの体の小さいkaran が主人公。なかよしの女の子は賢く、意外と勇気のあるtara。ヒロインだけにわりかしかわいいデザインなので、ちょっと一安心。他がね、けっこうね、アレなんでね。
これもフラッシュ・アニメーション。やはり手間がかからないし、データーもデジタルでやり取りするのに適しているということなんでしょうか。フルアニメーションで動きまくるようなことはなく、日本のリミテッド・アニメに近い動き。見た目や動きはコミック・ポンポンあたりの漫画原作のわかりやすいキッズ・アニメの雰囲気がする。オープニング・テーマがにぎやかでいい。
アメリカン・カートゥーンでもスシ・パックなどのキッズ・アニメはこういう雰囲気ですね。同じチャンネルでつるぴかハゲ丸、怪物くん、忍者マン一平(われながら主人公の顔を見ただけでよく思い出したな、と)も放送していて、これらと同様だがやや技術的に遅れているイメージ。
chhota bheem
pogo tv 一押しアニメの様子。製作は green gold という会社。アメリカの wordgirl に近いイメージのフラッシュ・アニメーションだが、kumbh karan 同様、リミテッド・アニメ的な動き。ここまで観て来たどの作品より、キャラが濃いデザイン。
舞台はインドの村で、近くの森では山賊も出るよ。主人公の勇敢な少年 bheemに、相棒の青い猿。青はスーパーな印しなので、言葉をしゃべるよ。あ、ジェネレーター・レックスの先取りじゃん(考えすぎ)。 ヒロインの女の子chutki、体の大きいいじめっ子にその手下、というこれもシチュエーション・ドラマ。ここで上げた3つ共に共通だがインドでも少年ヒーローはやっぱり髪を短くこざっぱりしていて、しかも上半身がたくましい。
全体的に60~70年代の日本のアニメの雰囲気で、TVアニメはどこの国でもやはりまずここを通らないと先へは進めないのだな。

chhota bheem は、インドの言語(といってもいくつも言語があるけれど)と英語で放映されていて、両者ともレギュラーキャラは子役が声をあてている。だから英語はインド英語。アメリカでもカナダでもヨーロッパでもオーストラリアでもない英語が堪能できる。英語版のヒロインchutki役の子の声が異常にかわいい。それだけにあのデザインがなあ~。もう、21世紀も10年経ってるっていうのにインドったら~、みたいな。

他にもインドでは三大聖典や英雄談、昔話などを基にしたキッズ向けショート・アニメや、映画など多数作られているようですね。やはり意外なアニメ大国なのかもしれない。インド恐るべし。TVアニメは、今はまだこれからな雰囲気だが、技術的なことなどあっという間に追いついてしまうもの。なにしろ世界最大の映画産業の国なうえ、コンピュータ関連の下請けとして、世界中の技術と情報があつまるIT先進国で、ハリウッドもCGや3D(立体)化をインドに下請けに出しているということもあるわけだし、その最先端がほぼ現代のアメリカン・カートゥーンに近い「Roll No.21」ということかな。今後の展開が楽しみではありますね。

いろいろ見て回ったインド・東南アジアのCNやニックなどのアニメ・サイトなのだけれど、実はどれも使用言語は英語。それどころか、番組を観た子供たちの感想の書き込みも英語なのだった。あれれ、これはどうなの。日本は今になってやっと、小学生も英語に触れさせてみましょうかみたいな、ちょっとばかり無責任としか思えない部分を含みがてらの授業を始めたようですが、これでは語学、ひいては将来避けられない海外との接触において圧倒的に不利ではないか。などと余計な心配をしてしまうのであったよ。
このさいキッズ・ステーションあたりも英語チャンネルを用意して、ポケモンからなにから全部英語で流す、くらいのことしてくれないとあかんのとちゃいますか。なんで関西弁か。せっかく海外アニメを放送しても、結局日本語に吹き替えてしまうのでは、なんにもならぬ。そうだよ。そうすれば海外アニメの翻訳の手間もかからないし、日本アニメは逆輸入すればいいだけだし。全国の小学生のみなさんに向けてとにかくそうなさい。んでもってばんばん海外アニメを輸入なさい、ぜひそうなさい。