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SHOWRIさんの公開日記

2011年
07月17日
15:40
 半分コ、とはいったものの、いつもタマはヨシアキのオヤツを半分以上平らげてしまう。
 さっさと自分のを食べ終えて、こっちが食べている所をじっと見ているタマに、どうしてもヨシアキが勝てないからだ。
 「もうちょっと、食べる?」
 半分コしたハズのロールケーキ。
 ヨシアキは自分のぶんから一口フォークでとりわけて、差し出す。
 「うん。」
 嬉しそうに答え、あーん、と口をあけるタマ。
 食べさせてやって、頭をよしよしする。
 そうすると、タマはとても幸せそうな顔をした。
 それが、ヨシアキにも嬉しかった。
 ただし、学校から帰ればタイクツだったとまとわりつき、
 遊びに行くといえば自分も行くと言って聞かず、
 うるさいタマがいるので勉強はとても自分の部屋ではできず、
 ついでに夜の方が元気らしく、なかなか寝かせてもらえない。
 可愛い時ばかりではなかったが、それでもヨシアキはよく相手をしたし、結局タマが嬉しそうにしていればそれで満足なのだった。
 
 ヨシアキとショウリは、コンビニエンスストアにいた。
 「ヨシアキ、お前ツナ缶なんか買って食うのかよ?」
 遊んでいるうちに少し空腹を感じ、何か買おうということになったのだった。
 「あ、これはオミヤゲ。ぼくは“うますぎる棒”にする。」
 ヨシアキは笑って言った。
 ショウリはますます疑問を感じる。
 「オミヤゲ?ツナがか?」
 「うん、タマがスキなんだよ。」
 決して多くないおこづかいからタマの好物を買ってやると、ヨシアキは1個20円のスナック菓子しか買えなかった。
 それでもタマの好きなツナを買って帰ってやりたかった。
 ショウリは少し不機嫌そうに
 「お前、タマになんか術でもかけられてんじゃないか?」
 と言って、じっとヨシアキの目をのぞいた。
 ショウリの目はつり上がっていて、笑っていないときは怒っているとしか思えなかったし、どうも酷薄に見えた。
 しかし、実際のショウリは多少乱暴で意地悪な所もあるが、基本ヨシアキには優しかった。
 キツいその目は斯波家独特の遺伝らしいが、それでも少しだけ、ヨシアキは緊張した。
 「そんなこと・・・ないでしょ?」
 「ん・・・たぶんな。平気そうだ。」
 何を見ていたのかはわからないが、一応なんともないと言われてヨシアキは胸をなでおろす。
 「じゃ行こうよ。」
 「おー。」
 二人はそれぞれ目的のものを買うと、コンビニを後にした。

 次の日、教室でヨシアキが友達と話していると、ショウリが割り込んできた。
 「ヨシアキヨシアキー、いいこと教えてやるよ、ちょっとこーい。」
 「え、ぼくタカヤくんたちと、あっ、あー・・・」
 まだ話していたのに、ヨシアキは強引に友達の輪から引っ張り出される。
 廊下に出ると、ショウリは声をひそめた。
 「タマの話だよ、あすこじゃできないだろ?」
 「え、タマ・・・?」
 ヨシアキが興味をしめすと、いたずらっ子の顔でショウリは笑う。
 「そーだよ、タマの一番好きなもん。
 ばぁちゃんが教えてくれたんだ。」
 「え、なになにー?教えてっ。」
 「今日帰ったら教えてやるよ、一緒に買いに行こうぜっ。」
 ヨシアキは喜んでうなずいた。

 翌朝、ショウリはさっそくタマの様子を聞きに来た。
 ヨシアキはあまり元気がない。
 「おい、タマ喜んだか?」
 ショウリが話しかけるとヨシアキは肩を落とした。
 「それがさあ」
 「ん?」
 「“ヨシアキ、これゾウキンだよー。”だって。」
 ショウリは目をむいた。
 「えぇーっ?!・・・だって、キツネだろ?
 キツネはアブラゲ、ってばぁちゃんが・・・」
 慌てて、言い訳のように昨日もした説明を繰り返す。
 キツネといえば昔から油揚げときまっていて、ばあちゃんの言うことに間違いはないのだ、と。
 ヨシアキも彼を責めているわけではないので、口ごもりながら昨晩のやりとりを話して聞かせた。
 「ぼくも、そう思ったからとにかく食べてって言ったんだ。
 そしたら、一口かじって、“あじ、ないー”って。」
 ショウリは少し難しい顔になって
 「そうか、そりゃ・・・そうだよな。
 オレらだってあれそのまま食わねーもんな。」
 といい、考え込んだ。
 「アブラゲ、でしょ?おミソ汁、とか入ってるよね?」
 ヨシアキもおいしい油揚げの食べ方を考える。
 「んー、でも、みそ汁が好物ってどうなんだ?
 あとは、うどんとか入ってるけど・・・なんか地味だよな。」
 「そうだよねえ・・・。」
 子供二人でうんうん考えても、他に思いつかない。
 「やっぱ、もっかいばぁちゃんにきくか。他にないか。」
 「そうだねー、ぼくも行っていい?」
 「おー。」
(続)