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SHOWRIさんの公開日記

2011年
12月23日
23:28
 「ハクコ?」
 「そうだ。」
 「げろ?」
 「げ・・・何だと?」
 「いつもきもちわるいの?」
 私は会話の内容に大きな擦違いを感じた。
 少し考えて、思い当たる。
 吐く、子・・・?
 「タマ、今のは忘れてくれ。」
 「だいじょーぶぅ?だいじょーぶぅ?」
 心配している所を見ると、私が本当に吐くと思って居るのだろう。
 ややこしい。
 別の名を考えよう。
 「白夜、だ。白夜と呼ぶが良い。」
 陽の沈まぬ、白き夜が有るという。
 白からとっさに連想したものだが、神秘的な響きは私に相応しい。
 「ビャクヤ?」
 「そう、白夜だ。」
 ふぅん、とタマは言い、嬉しそうに笑った。
 「ビャクヤとタマ、きょうからおともだち。」
 「ああ、そうだ。」
 そこへ、不意にあの方の声が割り込んだ。
 「びゃくや?それってあなたの名前?」
 「稲荷神様、いらしていたのですか。」
 「いい名前ね、白夜くん、か。」
 稲荷神様は、優しく微笑んだ。
   ◆
 タマが居ない間、ヨシアキはせっせとおイナリさんを作っていた。
 山盛り作って他におかずとおツユを仕上げ、ダイニングテーブルに突っ伏してうたた寝こいてるところへ、やっとタマが帰ってきた。
 もう夕方になっていた。
 「タダイマー。」
 「あぁ、おかえりタマ、遅かったね。
 ごめんな、怒った?」
 外へ出ても、用心のため、と人間に話しかけたりしないように言われているタマは、友達がいない。
 ヨシアキを待ちきれなくて出て行ったものの、遊ぶ相手もいないはずなのに、タマはゴキゲンだった。
 「おかえりぃヨシアキー、あのねタマね」
 話そうとして、山盛りのおイナリさんに気付く。
 「わぁーおイナリさーん!ヨシアキ ダイスキー!」
 飛びついてきたタマを抱きしめ、ヨシアキは
 「おれもタマが大好きだよ。
 ちょっと早いけど、ゴハンにしちゃおうか。」
 と言った。
 
 その晩、ヨシアキは深く悩んで今日会っていたはずの親友に電話をかけた。
 「しょーちゃん、タマ、友達作ってきたよぉ。」
 「何だと?!いやまずいだろ、いや、いやでも少しの間くらいならバレないかも知れないし、許してやっても。」
 「いやー、それがあ、その、ね?あぁあ~。」
 「何だ何だ何だ、いつにも増して歯切れが悪いな。」
 ショウリに促され、ヨシアキは意を決する。
 特にショウリには物凄く言い辛いこの話、だが相談できるのもショウリくらいなものなのだ。
 「それが、その、お稲荷さんと、あと同じ狐でお稲荷さんの使いなんだって。」
 「お稲荷さん?!神様じゃねえか!
 本物なら・・・すげえな。」
 「それは、そうなんだけど。
 その狐の、白夜くんが、・・・おれと、しょーちゃんが、愛とか、何かもう、タマに変なこと吹き込んでて」
 「ぶっ・・・愛って、なんっ、ゲイってことか?!」
 動揺するショウリの声。
 「もぅおれ、どう訂正してどこまで教えればいいか・・・」
 ヨシアキは頭を押さえ、目を潤ませた。
 「しっかりしろって、ゲイの知識はタマにはいらんだろ。
 つーかお前はそんな事に詳しいのかよ。」
 この際どうでもいいツッコミが入るあたり、ショウリも少なからず動揺していた。
 「タマがぁ、おれのタマがこれ以上変なこと言い出したりしたら、おれ、おれどうしよう、しょーちゃぁーん!」
 「知るか・・・くそっ。」
 電話の向こうで、ショウリは頭をかきむしった。