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新田真子さんの公開日記

2012年
01月19日
04:26
ここまでアメフトの試合の進行具合をみてきましたから、次はプレーヤーについてみてみましょう。
フィールドでプレーする攻撃、守備の22人のプレーヤーはチェスの駒のようにそれぞれの役割だけでなく、できることできないことまでが決まっています。
また、名称がちょっとややこしいのは、「配置による名称」と「役割による名称」があり、この二つが違う場合があるからです。
ではまず攻撃側から。

攻撃チーム、オフェンス・チーム11人の基本パッケージ。

センター(スナッパー)
ライト・ガード(オフェンス・ガード)
レフト・ガード(オフェンス・ガード)
ライト・タックル(オフェンス・タックル)
レフト・タックル(オフェンス・タックル)

クウォーター・バック

フル・バック
テイル・バック(ランニング・バック)
ワイド・レシーバー
ワイド・レシーバー
タイトエンド

最初の5人は「オフェンス・ライン」または「ラインメン」と呼ばれ、スクリメージランを挟んで守備チームと向かい合う最前線の選手です。中央に「センター」そのすぐ右に「ライトガード」左に「レフトガード」、その外側にそれぞれ「ライトタックル」と「レフトタックル」が位置します。
この5人は5人で1ユニット。必ず攻撃プレーに参加します。
「ラン」プレーの時には、「ブロック」によって守備選手のバックフィールド進入を防ぎ、ボールキャリヤーのために道を確保することが役目です。
「パス」プレーでは、パスを投げるクウォーター・バックを守備チームの「パスラッシュ」「ブリッツ」から守るための盾になります。
「パス」プレーではオフェンス・ラインの5人はパスが投げられるまで、「スクリメージライン」を越えて「ダウンフィールド」に入ることができません。またこの5人には「パス」を受ける資格がありません。「パス」されたボールを受けてしまうと「反則」になってしまいます。
5人の「オフェンス・ライン」こと「ラインメン」は、個人で目立つようなことはありませんがもっとも重要なポジションであるといえます。「ラン」「パス」ともに、この5人の活躍が成功の鍵を握っています。彼らが守備チームを牛耳ってクウォーターバックを守り、ボールキャリヤーの道を開くことが勝利を招きます。

オフェンス・ラインの一人「センター」には特別な役目があります。それはプレー前、スクリメージライン上にあるボールに手を置き、クウォーターバックの合図でそのボールを自分の後ろに位置するクウォーターバックに渡す仕事があるからです。これを「スナップ」といい、「スナップ」する選手を「スナッパー」といいます。「センター」は「スナッパー」でもあるわけです。
プレーはボールが「スナップ」された瞬間から始まります。ボールが「スナップ」されるまで、攻撃守備ともにスクリメージラインを越えて相手のフィールドに侵入してはいけません。
オフェンス・ラインで特に重要な選手がもう一人います。それは「ライトタックル」または「レフトタックル」です。
クウォーターバックが右利きなら「レフトタックル」左利きなら「ライトタックル」になります。
「パス」プレーの時、クウォーターバックは「スナップ」を受けると、ボールを投げる体制を取るためスクリメージラインに対して半身の状態になります。このとき、右利きなら右斜めを向き、左利きなら左斜めをむくことになり、どちらの場合も向いたほうの反対側が死角になります。死角から迫る守備選手に対してクウォーターバックは無防備になります。この死角を守るのが「オフェンス・タックル」の役目です。

「クウォーターバック」はチームの司令塔です。
普通「クウォーターバック」はセンターのすぐ後ろに位置し、「センター」から「スナップ」されたボールを受け取ります。攻撃プレーは「クウォーターバック」がボールを持った瞬間から様々に展開していきます。
「クウォーターバック」は多忙です。攻撃プレーの時、ベンチにいるオフェンスコーチ(監督であるヘッドコーチ場合もあります)からのどんなプレーを行うかの指示「プレーコール」を他の選手に伝え、時には守備の配置を見てその場で「プレーコール」を変えたり(「オーディブル」といいます)、「スナップ」のタイミングを決定し、「ラン」プレーではボールキャリアにボールをわたし、「パス」プレーでは「パッサー」としてボールを投げる役目をする攻撃プレーの中心選手です。「クウォーターバック」の力だけで試合に勝てるわけではありませんが、「クウォーターバック」の能力が優れていなければ試合に勝つことはかなり難しくなるのです。

クウォーターバックの後方に位置するのが「フルバック」と「テイルバック」の二人です。
「フルバック」は「ラン」の時にはボールキャリヤーとなる「テイルバック(ランニングバック)」のすぐ前を走り、ボールキャリヤーに対する守備の「タックル」を「ブロック」で防ぐ役目を担います。「ラン」に対する守備チームの壁を直接突き崩す役目というわけです。
「パス」の場合には「ラインメン」と同様にクウォーターバックの守りにつくのが普通ですが、時には前進して「パス」をキャッチすることもあります。
しかしやはり「フルバック」の基本プレーは味方の攻撃を助けるための守りのプレーです。「縁の下の力持ち」という言葉がぴったりあてはまるポジションです。
「テイルバック」は通常「ランニングバック」と呼ばれる選手が担当します。実際たいていの場合「ランニングバック」と呼ばれます。
「ランニングバック」は「ラン」プレーの時の攻撃チームの主役です。
「ラン」プレーの時、「ランニングバック」の役目はその名の通りクウォーターバックからボールを手渡されてボールキャリヤーとなり、「オフェンスライン」が押しとどめる守備チームの隙間を狙って敵陣へ向かって走りこむ役目を担います。まさに体当たりの仕事です。時には1ヤードの前進のために全力で真正面から守備チームの壁に突撃していきます。守備チームの「タックル」をもっとも受ける選手でもあり肉体的にも精神的にも最高のタフネスが求められると同時に機敏な動きと数歩走っただけで全速力に到達する特別な足の速さも必要です。
「パス」プレーの時には、クウォーターバックの守りにつきますが時には、近距離でのパスキャッチを受けることもあります。

「ランニングバック」が「ラン」プレーの主役なら「パス」プレーの主役が「ワイドレシーバー」です。
「ワイドレシーバー」は通常スクリメージラインに沿って左右に一人づつ配置されます。その役目はその名の通り、「パス」プレーの時、クウォーターバックが投げるパスを「インバウンズ」でキャッチすることです。「アウト・オブ・バウンズ」でキャッチしたり、インバウンズでもキャッチできなければ「パス失敗」です。守備チームの妨害をかわし、パスをキャッチすればボールキャリヤーとなって「ラン」プレーを開始しますが、守備選手はそうはさせまいと「キャッチ」の瞬間を狙って「タックル」してきます。パスキャッチのため飛んできたボールを守備選手の妨害のなかででも確実に取る能力はもちろん、パスされたボールが落下してくる場所へ守備チームより早く到達する走力や、そこに到達するまでに守備選手のマークを振りほどく機敏さ、「タックル」に耐えるタフネス。「ラン・アフター・キャッチ」のための走力などの高い身体能力が求められる花形ポジションです。
「ラン」プレーのときでも「ワイドレシーバー」は「ランニングバック」のために囮となってダウンフィールドに走りこみます。守備選手の何人かがパスを防ぐために「ワイドレシーバー」についてくることで、守備選手を分けることが目的です。また、「ランニングバック」が守備チームの第一線を突破してダウンフィールドに走り出たときには、これを「タックル」しようとする後方に位置する守備選手を「ブロック」する役目も受け持ちます。

「タイトエンド」は特別なポジションです。通常は「オフェンスライン」とともにスクリメージラインに沿って左右どちらかの「オフェンス・タックル」のすぐ外に位置します。
「ラン」の時には「オフェンスライン」と同様に守備チームを「ブロック」。
「パス」の時にはクウォーターバックのための「ブロック」だけでなくダウンフィールドに出て「パスキャッチ」もします。また、最前線からダウンフィールドに走り出ることができる(オフェンス・ラインはできません)ので「ワイドレシーバー」のための囮になることもできますし、「ワイドレシーバー」の「パスキャッチ」後には「ラン・アフター・キャッチ」のための「ブロック」要員にもなります。
「オフェンス・ライン」と並んで最前線で「ブロック」するタフネスと「ワイドレシーバー」のように「パス」を受ける能力の両方が要求され、状況に応じてすばやく目的を切り替えることのできる汎用(ユーティリティー)プレーヤーが「タイトエンド」です。

この11人が基本ユニットですが、状況に応じて選手が入れ替わることがあります。たとえば「フルバック」のかわりに3人目の「ワイドレシーバー」を入れたり、「タイトエンド」を入れて「オフェンス・ライン」の左右に「タイトエンド」を配置することもあります。「フルバック」ではなく「ランニングバック」のかわりに「ワイドレシーバー」「タイトエンド」を入れる場合もあります。「タイトエンド」を抜いて「ワイドレシーバー」を入れることもします。
それぞれどういう状況でどんなプレーをどんな目的で行うかで、決まります。
たとえば「ワイドレシーバー」を3人にすれば普通明らかに「パス」狙いですが、そうと見せかけて「ラン」プレーなどということもわりとしょっちゅうあったりします。