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新田真子さんの公開日記

2012年
01月19日
06:44
次は守備チームの11人です。
守備チーム、ディフェンス・チームは現在その配置に主に2つの種類がありますが、多くのチームが採用している「4-3(フォー・スリー)ディフェンス」と呼ばれる守備チームをみてみましょう。

ライトガード(ディフェンス・ガード)
レフトがード(ディフェンス・ガード)
ライトタックル(ディフェンス・タックル)
レフトタックル(ディフェンス・タックル)

ラインバッカー(ミドル・ラインバッカー)
ラインバッカー(アウト・ラインバッカー)
ラインバッカー(アウト・ラインバッカー)

コーナーバック(ライト・コーナーバック)
コーナーバック(レフト・コーナーバック)
セーフティー(フリー・セーフティー)
セーフティー(ストロング・セーフティー)

この11人が基本パッケージです

最初の4人は「ディフェンス・ライン」と呼ばれ、スクリメージラインに沿って位置する最前線の選手です。役目は攻撃チームの「オフェンス・ライン」を破ってクウォーターバックやランニングバックに「タックル」し可能な限りすばやく「ダウン」させることです。
「パス」守備で積極的にクウォーターバックに向かってプレーすることを「パス・ラッシュ」といい、攻撃チームがクウォーターバックを守ることを「パス・プロテクト」といいます。また、「パス」を投げる前のクウォーターバックに「タックル」して「ダウン」を奪うことを「クウォーターバック・サック」あるいはただ単に「サック」といいます。
「ディフェンス・ライン」は「パス」攻撃に対して、クウォーターバックに「パス・ラッシュ」をかけ、攻撃チームの「パス・プロテクト」を破って「クウォーターバック・サック」を狙うわけです。
「サック」が成功すれば、攻撃チームはスクリメージラインから下がった位置で「ダウン」することになり、大きな「ロス」になってしまいます。つまり守備チーム、ディフェンス・チームにとって「クウォーターバック・サック」はビッグプレーというわけです。

次の3人「ラインバッカー」は守備チームの要。「ディフェンス・ライン」のすぐ後方に位置しますが、「ディフェンス・ライン」に混じってスクリメージラインにそって位置することもあります。
目的は「ディフェンス・ライン」と同様ですが、「ラインバッカー」はより多くの役目を果たします。
「ラン」守備の場合、「ライン」と並んで最前線でボールキャリヤー「ランニングバック」に対する壁となりますが、あらかじめ「ライン」の後方に位置しておいて「ライン」にあいた隙間から「ランニングバック」が走り出ようとするタイミングで「タックル」したり、この開いた穴から逆に攻撃側に進入し、スクリメージライン到達前の「ランニングバック」に「タックル」することが目的です。3人いる「ラインバッカー」は誰がどこを塞ぎ、誰がどこから進入するか、誰が「ランニングバック」の突破に「タックル」するかをプレーごとに判断します。
「パス」守備の場合には、ひとつは「ライン」とならんで「オフェンス・ライン」の「パス・プロテクト」を突破し、「クウォーターバック・サック」を狙います。特に「ラインバッカー」が仕掛ける「パスラッシュ」を「ブリッツ」と呼ぶことがあります。スクリメージラインから、あるいはスクリメージラインやや後方から数歩の助走を取って「スナップ」と同時に攻撃側に走りこみ、一気に「サック」するイメージから「ブリッツ(電撃)」と呼ばれるプレーです。なぜそんなことが可能なのかは、また後で。
また「パス」守備では「ダウンフィールド」に出てくる攻撃側レシーバー、主に「タイトエンド」やフィールドの内側にはいってくる「ワイドレシーバー」に対して「パス」を防ぐためのプレーを行う場合もあります。「パス」を防ぐためにレシーバーをマークしてプレーすることを「パス・カバー」といいます。「ラインバッカー」が全員あるは何人かで「ブリッツ」をしかれば当然その分だけダウンフィールドの守備、つまり「パス・カバー」が手薄になってしまいます。「ラインバッカー」は、状況を見てそれぞれのプレーを使い分けなければいけないわけです。また「ゾーン・ブリッツ」という「対パス守備」があり、これで対抗することもあります。

「ディフェンス・ライン」が4人、「ランバッカー」が3人、このタイプの守備を「4-3ディフェンス」と呼びます。
「ディフェンス・ライン」が3人、「ラインバッカー」が4人、の場合は「3-4(スリー・フォー)ディフェンス」です。
プレーヤーの能力や、ディフェンスの考え方によってそれぞれのチームがチーム事情にあった体型を採用しています。

攻撃側に司令塔「クウォーターバック」がいるように守備チームにもリーダーがいます。大抵は「ラインバッカー」の誰かがチームリーダーです。ポジション的にも攻撃側のプレーを把握しやすい位置にいるからでもあります。攻撃側のプレー選択「プレーコール」を読み、どういう守備体型をしくのかをチームに指示するのが役目です。「ラン」か「パス」か、「ラン」であれば攻撃チームはどこを突破して来ようとするか、右か左か中央か、あるいは「ラン」と見せかけて「パス」かもしれない。何人で「パス・ラッシュ」を仕掛けるか、あるいは「パスラッシュ」の人数を減らし「パス・カバー」を厚くするのか。攻撃側同様、守備チームもプレーごとに作戦をめぐらし、対抗するわけです。

「コーナーバック」と「セイフティ」をあわせて「ディフェンス・バック」と呼びます。守備チームが守るのは「ダウンフィールド」ですが、守備側から見ればバックフィールドでもあるからです。また最前線でプレーする「ディフェンス・ライン」と「ランバッカー」の後方に位置することから「セカンダリィ(第2列、第2陣の意味)」ともよばれます。

「コーナーバック」は「パス・カバー」専門のプレーヤーです。主な仕事はダウンフィールドに出てくる「ワイドレシーバー」に対する「パス・カバー」です。普通一対一で「ワイドレシーバー」と対決することになります。優秀な「コーナーバック」がいれば「ワイドレシーバー」のパスキャッチをことごとく防ぎ、「パス」により前進を阻むことができるわけです。逆に「コーナーバック」がミスを犯せば、攻撃側に大きな「ゲイン」を許すことにもなります。

二人の「セイフティ」、「フリー・セイフティ」と「ストロング・セイフティ」は守備チームの最後方に位置している選手です。
「ラン」守備では、「ディフェンス・ライン」「ラインバッカー」を突破してダウンフィールドに出てくるボールキャリヤー「ランニングバック」に対する最後の守りです。ここを突破されてしまえば後は無人のフィールドで「タッチダウン」必至となってしまいます。
「パス」では主に「コーナーバック」を助けて「パス・カバー」を行いますが、2人以上のレシーバーがいる場合コーナーバックがマークするレシーバー以外のレシーバーのマーク役にまわることもあります。
「ワイドレシーバー」に「パス」が投げられた場合「コーナーバック」が「ワイドレシーバー」のキャッチを阻止できなければ「ラン・アフター・キャッチ」を「タックル」で防ぐためにバックアップとしてその場に駆けつけます。また、「ワイドレシーバー」が「コーナーバック」を振り切ってダウンフィールドの内側に入り込んだような場合には「コーナーバック」からマークをひきつぎ「ワイドレシーバー」と対決します。
「セイフティ」は2人がそれぞれダウンフィールドの右側左側を守ります。スクリメージラインに並んだ攻撃チームの「センター」をはさんで人数の多い側(普通「タイトエンド」がつく側ですね、「タイトエンド」は大抵一人なので左右どちらかの人数が一人多くなるわけです)を「ストロングサイド」といい、この「ストロング・サイド」に守備位置を取るのが「ストロング・セイフティ」です。二人の「セイフティ」の役目に違いはありません。
「セイフティ」の守備範囲は非常に広く、また攻撃プレーによって様々な判断とプレーが要求されるため汎用性の高い能力が求められます。

「コーナーバック」と「セイフティ」は時に、本来の守備位置から離れ、「ディフェンス・ライン」「ラインバッカー」とともに「パスラッシュ」を仕掛けることがあります。「コーナーバック・ブリッツ」「セイフティ・ブリッツ」と呼ばれるプレーです。攻撃側にとっては、「パスラッシュ」に余計な人数が参加することで「パス・プロテクト」の人数が足りなくなり、一気に「サック」されてしまう可能性があります。逆に、守備側にとってはダウンフィールドの選手が欠けることになり、「サック」に失敗すれば、たとえば「ブリッツ」をしかけた「コーナーバック」の到達前に「パス」を投げられてしまえば「パス」がやすやすと成功してしまうかもしれないわけです。ですからここぞという時、たとえば「ファーストダウン」更新には「パス」しかない、というような場面で行われるスペシャル・プレーです。

攻撃チームがプレーの目的によって選手を入れ替えるのと同様、守備チームも選手を入れ替えることがあります。たとえば「ラインバッカー」を一人減らして「セイフティ」を5人目の「ディフェンス・バック」として加える体型で、「ニッケル・バック」と呼ばれます。「パス」攻撃に対抗する陣形ですね。あるいは逆に「セイフティ」を減らし、「ランバッカー」を増やすこともあります(3-4の場合ではラインバッカーが5人ということになります)。「ラン」と短い距離の「パス」に対抗する陣形です。どちらも攻撃側のプレーを読んで決め打ちする陣形になるわけです。

守備チームは守備といいながら、実は積極的に攻撃チームに対して「守備」を仕掛けていきます。時には「ターンオーバー」で攻撃権を奪いとりそのまま「タッチダウン」してしまうこともあるのです。
「攻撃は最大の防御」といいますが、アメリカン・フットボールでは「防御は最大の攻撃」でもあるのです。


攻撃チーム、守備チームそれぞれのプレーヤーが、それぞれの特別な得意技をもってプレーするのがアメリカン・フットボールの面白いところです。
時にはそれこそ「あっ」というようなスペクタクルなプレーや「なんじゃそりゃ?」というほとんど漫画のようなシーンが飛び出すこともありますよ。「ワイドレシーバー」などは1シーズンに一回くらいは重力を無視したプレーをします。いや、マジで。