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新田真子さんの公開日記

2012年
03月04日
06:35
Flush
author Carl Hiassen 読了

Noah の父、Paine は、Dusty Muleman のカジノ客船 Coral Queen の船底の栓を開け、船を沈めた罪で拘置所にいた。Dusty Muleman は船の汚物を違法に投棄し、周辺の海を汚染していると考えたからだった。
Paine が警察につかまったのは初めてではない。マイアミの海を汚す行為を見ると相手が誰であれ、あっという間に頭に血が上る少々困った性格なのだった。しかし今度は分が悪い。Paine の主張は通らず、Dusty Muleman は土地の名士で、しかも不法投棄の明確な証拠がない。船体に損傷がない Coral Queen は、すぐに引き上げられ再び営業を始めた。
Noah は父の無罪と Dusty Muleman の不法行為を証明し平和な普通の家庭と、美しい海を取り戻そうと行動を開始するのだが・・・。

アメリカはフロリダ半島の南端が舞台。海の自然を守ろうとするちょっと過激な父を持つ少年 Noar が自然と家族を守ろうと奮闘する、カール・ハイアッセンのヤングアダルト向け第2作。前作の「Hoot」と同様の自然を顧みない資本主義優先 の大人と少年の戦いが描かれるが、キャラクターががらりと変わっていてまったく別物。何しろ主人公よりその父親のほうが過激なんだから子供としては困ってしまう。が、その血を受け継いだ主人公とその妹 Abby は、父親同様、家族の危機と自然破壊にだまってはいられないのだ。ストーリーも Hoot より社会派な内容になっていて、ただ自然を愛するというだけでは、物事は思うようには行かないし法律も社会もそう簡単には味方してくれないという世の中の厳しい面も描かれてもいる。
キャラクターは多彩。自然を愛する過激な父をはじめ、いかにも頼りにならなさそうな胡散臭い人間や、強面の用心棒などちょっとハードボイルド系のキャラクターも登場。女性陣が頼もしい。Noah の母はもちろん、Noah に協力する Shelly と,特に Noah の妹の Abby がいい。それから、 Noah を助けてくれる謎の「海賊」も。
二転三転するストーリーにユーモアもふんだんに交えてあって最後まで楽しく読めました。

あ、そうだ。この本は表紙もいいんですよ。前作「Hoot」もそうだけど、この「Flush」も装丁がシンプルで色も綺麗。妙に愉快なエンボス加工のイラストが、これがまたいいんだな。