「あらヤダ。もうこんな時間。 さ、そろそろ寝るわよ、イヴ。」
「うん、ギャリー」
イヴがアタシの家に泊まるのはもう何度目かしら。
月に何度か週末に逢って、お話しをして、お茶をして…。
時々はこうしてイヴのご両親公認でウチに泊まっていく。
随分信用されてるのね、アタシ…。
アタシだったら、可愛い娘をこんな胡散臭いオネェの所に泊まらせるなんて馬鹿な真似、絶対しない。
…って、自分で言ってどうするの。
アタシは苦笑した。
可愛いイヴ。
アタシの、大切な恋人。
「ねぇ……ギャリー……」
「なぁに?」
「また……この前のアレ……して」
アタシはイヴのこの瞳に弱い。
深い赤にじっと見つめられると、吸い込まれそうになる。
アタシはちょっと戸惑う。
「い…いいけど……。でも」
その戸惑いは瞬時に彼女に伝わる。彼女は勘が良い。
ほんの少し首をかしげるイヴ。でも深紅の瞳はアタシをとらえて離さない。
「……正直ちょっと、不安なのよ。イヴは……その……まだ小さいから…傷つけちゃうんじゃないかって…」
「大丈夫だよ。ギャリー。 全然痛くなかったよ!!」
キラキラの瞳が懇願する。
「ギャリー、すごく優しくて上手だったから……気持ち良かったの。」
「…………」
「だからお願い。また……して………。」
ああもう。
何でこんなに可愛くおねだりするの、このコは。
「わかったわ。」
アタシは観念した。
「これは二人だけの秘密だからね。約束よ。」
「うん、約束する。」
イブが頬を染める。薔薇色の頬。
アタシは最終確認をする。
「いい……?痛かったら言うのよ。すぐ止めるから。」
「うん………」
「……………ああ………んっ………」
イヴの身体がビクンとこわばる。
「大丈夫…?」
「いい…………きもち………いい………。。」
イヴは小さな手を、何かに耐えるようにギュッと握る。
身体が小刻みに震えているのがわかる。
可愛い………可愛いアタシの小さな恋人。
「ハイ、おしまい。お疲れ様、イヴ。」
「ああ気持ち良かった…。ありがとう、ギャリー。」
アタシの膝に小さな頭を載せて、イヴが微笑む。
「お安いご用よ。いつでも言って。耳かきぐらいいくらでもしてあげるから。」
「今度は私がギャリーにしてあげるね。」
「ふふ…お願いするわ。そのうち、ね。」
しかしギャリーはこの言葉を数年後ひどく後悔するのであった。
(完)