「あ~っ!
それ、卵焼き俺も食べたいよ~!」
ナイスだY!
君の胃袋を俺は当てにしてていいんだな?
この場を難なくやり過ごせると安心していた矢先、
俺をどん底に突き落とす一言・・・?
いや、二言が脇から発せられた。
「ダメだよ邪魔しちゃ。
それ、K子が旦那さんに一生懸命作ってたんだからね?
いい子だから、あんたはコッチの方を食べてなさい。」
小学校からの幼馴染であるU子が口をはさんだ。
おいおいU子さん?それはないだろ~?
U子は自分が焼き損じたらしい卵焼きをYに押し付けた。
ああっ、当てにしていたYの腹が・・・。
ん?
ちょっと待てっ!
邪魔ってなんだ?
旦那さんに一生懸命・・・?
えっ?
旦那って・・・、俺?
それって俺のためにってことなのか?
K子は確か俺のこと嫌いだと宣言していた。
シャクにさわるので、惚れさせてフルつもりではいたが・・・。
K子がクラスメイトになってから、予想外の展開に惑わされてばかりだ。
まったく女は、訳が分からん生き物だ・・・。
予測不可能な行動を平気でする。
でも、悪くない・・・。
面白いじゃないか!
興味が湧いてきた。
しばらくK子を研究観察してみるか・・・。
「これね・・・、私の自信作なんだよ?
ねぇねぇ、食べてみて?」
K子がニコニコしながら俺のことを見ている。
わかったよ・・・、観念するよ・・・。
俺も男だ、強制的に約束させられたけどいいですよ・・・いただきますよ。
K子のヤツめ、急に女らしくなっちゃてもう・・・。
こっちの調子が狂っちゃうじゃないか・・・。
憎むに憎めなくなってしまう。
するとK子は包みの中からフォークを取り出した。
「食べさせてあげるね?
はい、あ~ん。」
なんか可愛いぞ、こんにゃろ。
「あっ、おいしい・・・。
へ~っ、いけるいける。」
これは意外だった。
「でしょ、でしょ~?
もう、いろいろ苦労したんだから~。
あとね・・・、デザートにクッキーも焼いちゃった・・・。」
満面の笑顔で話しかけてくる。
見事なまでに女の子しちゃってるよ・・・こいつ。