「ねっ、なんで谷川のこと知ってるのよ?
あいつ私と同じM小学校出身だよ?
あなた、U子ちゃんと同じO小学校でしょ?」
K子は疑問に思ったことは、なんでも俺に聞いてくる。
「あのね、あいつ去年学級委員だったろ?
俺は去年、学年委員長で生徒会副会長だったんだよ?
委員会ごとに顔合わせてるよ・・・。」
俺たちの通っているT中学校は新設校だ。
三つの学区にまたがっている。
俺たちは最初からT中学校だが、上級生たちは三つの学区それぞれの中学校から振り分けられてきた。
ただでさえ烏合の集団なのに、学校長命により一年以内に校則、その他もろもろのシステムを練り上げねばならなかった。
それからの毎日、既存中学校の生徒会に足を運び、問題点を修正し組織を組み立てる連続・・・。
そればかりか民報地方紙、他校の新聞部の取材の嵐。
授業中、休み時間、昼食時間、まったく時間を問わなかった。
そして無駄に時間は過ぎていく・・・。
当然勉強などの時間はなく、雑務と業務の区別がほとんどなかった。
・・・・・・ような気がする・・・いや、確実になっかた・・・。
「へ~っ、そうだったんだ・・・。」
K子はT中学校、生徒会発足当時の経緯を知らない。
今回、俺の口から初めて経緯を知った。
「谷川の奴、俺にやたらと絡んでくるんだよね・・・。
目障りでしょうがなかったなぁ~。」
「あなたに・・・?なんでだろう?」
「生徒会上層部はO小学校出身者で、みんな俺の知り合いだったもの。」
「え~っ!?そうなの?」
「そうなの・・・。だから俺に対して妬みもあったんだろうね~。」
「あなた凄いじゃない!!」
今思い返してみると、凄いなんてちっとも思わなかった。
ただひたすら、毎日をガムシャラに過ごしてきただけだった。
「凄くないよ・・・。
何も無い、この学校の基盤を作っただけのお話・・・。
早い話が、ただの裏方さんだよ・・・。」